悲劇の逆転、惨敗。
【4月9日(水)阪神球場】
De8ー阪12 ●負け
先発:(De)上茶谷ー(阪)ガルシア
酷い。
あまりにも酷い。
こんなに屈辱的な負け方があるのか。
まだシーズン序盤だというのに行き場のない感情がぐるぐると身体に巻き付いて離れない。
やはり鬼門であった、これが阪神戦。
思い返せばこの惨敗の予兆は最初から現れていた。
0-2と先制された2回。
記録は梅野のタイムリー3ベース。
だがこれは最初はライト、ソトのエラーと判定されていたのだ。
後に修正されたものの、やはりソトが落球をしたという印象は否めない。
開幕からチーム内で目立った守備ミスはなかっただけに、このミスがチーム全体を動揺させる。
ここまで安定した活躍を見せている捕手伊藤も、簡単なキャッチャーフライをはじきエラーをしてしまう。
ただしここは拾った直後に2塁刺しに成功したため結果的にはアウトを取れた。
が、嫌な予感がする。
何か、守備に嫌なムードが漂う。
ただ打撃は巨人戦の勢いそのままに、4回ロペスの2打席連続ヒットで出塁から筒香の2ランホームランで同点とすると、宮崎もヒットで出塁し、続く6番中井は移籍後初ヒットを放ち、ランナー2,3塁。
仕上げは大和の犠牲フライでベイスターズは勝ち越しに成功。
その裏、2アウトからガルシア粘りのタイムリー内野安打で一度は同点とされるも、
5回ノーアウト満塁から筒香のタイムリーで2点追加しガルシアを引きずり降ろすと、続く中井のヒットで満塁とし、これまた仕上げは大和のタイムリーヒットで7-3と差を広げた。
7回には中井のソロアーチで追加点をあげ8-3とする。これが中井にとって移籍後初となるホームランだ。
攻撃はほぼ完璧な内容だった。
だが、ここから悪夢がはじまる。
その裏、マウンドでは上茶谷が準備をするも、阪神が代打にルーキー近本をオーダーするとすかさずエスコバーにチェンジ。
上茶谷は勝ち投手の権利を持って降板となる。
上茶谷を何故、このタイミングで降板させるのか。
かなりの点差で勝っていて、上茶谷自身の内容も決して悪くない。
いささか疑問も感じるなか2番手に登場したのはエスコバーだ。
エスコバーだが、開幕から10試合中これが7試合目の登板となる。
上茶谷がまだ投げられるのに中継を酷使するのは何故なのか..。
間違いなくそろそろ疲れも出てきている中、エスコバーは先頭のランナーにルーキー近本を出してしまう。
するとだ。
盗塁を試みた近本への伊藤の球は悪送球となりランナーを3塁まで進めてしまう。
攻撃の援護のお陰でなんとか保っていたはずの"守備の動揺"が再び顔を出す。
そして遂に続くバッター糸井にタイムリーを打たれ、追加点を許してしまう。これで8-4。
ラミレス監督はすかさず交代をつげ三上を投入。
しかし三上もいきなりワイルドピッチで更に1点を返される。8-5。
守備の動揺がどんどん広がる。
ひとつのミスが連鎖のようにチーム全体に降りかかっていく...。
もうこうなると不の連鎖は止まらない。
その後も福留にタイムリーヒットを許し8-6。
鳥谷と中谷を打ち取り7回を終えるも、
8回の攻撃が代打楠本の盗塁失敗でダブルプレーをとられ息をするようにあっけなく終わり更に嫌なムードが漂う。
そして、その裏の出来事だった。
ついに悲劇は起きた。
8回裏に登場したパットンが先頭梅野にソロアーチをあび、これで8-7。
その後大山にも内野安打を打たれ2死満塁とされる。1打出れば逆転される場面。
ここでラミレス監督はパットンを下げて回を跨いで山崎を登板させる。
その4球目、福留が打ち返した球は高く打ちあがりライト方向へ。
ああ、これで打ち取って9回だ。
助かった。山崎ありがとう。
誰もがその瞬間思ったはずだ。
しかし。
ライトの守備をしていたソトのミットから、虚しくもボールがこぼれ落ちた。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
甲子園を埋め尽くす黄色い虎党が一気に沸き立つ。
次々とホームベースを踏む選手達。
あぁ、負けた。
よくわからない怒りにも似た悲しみと虚しさに襲われる。
わずかな気力で試合を見守るも、山崎はその後も被弾をあび、終わってみればこの回6失点で8-12。
なんたる悲劇。
こんな事がありえるのか。
その後9回をドリスに3者凡退でいとも簡単に片付けられてあっけなくゲームセット。
一体どうしたらこんな負けかたをするのか。
見ているいちファンでもこれだけ屈辱感でどうしようもなくなるものを、
選手達はどんな気持ちでいるのだろうか。
誰が悪かったなんてそんな犯人探しはしたくない。
上茶谷をもう少し長く出していれば悪い流れにはそもそもならなかったとか、
8回裏は次の回打順がソトからだったとはいえ守備固めするべきだったとか、
そんなものは試合が終わって今だからあーだこーだ言えるのだ。
それでもたった2イニングで8-3を8-12にひっくり返されてしまうのは、どこか策自体に問題がなきゃこんな事にはならない。
行き場のない感情をどこにぶつけたらいいのかわからない。
あまりに、あまりに酷すぎる負け方なのだ。
二度とこんな虚しい気持ちになる試合を選手達にさせないためにも、
指揮官がこの惨敗をどう教訓にしていくのか、最後まで見届けたい。
なんにせよここからまだ5連戦が続くのだ。
選手達には気持ちを引きづらずに、目の前の1勝利に向けてまた奮起してもらいたい。
國吉の白星、倉本の一打。(4/6)
【4月6日(土)横浜スタジアム】
De9ー巨2 ○勝ち
先発:(De)京山ー(巨)澤村
京山は立ちあがりから先制を許すも、味方の援護ですぐさま同点に。
3回には追加点を奪われるが、4回に筒香宮崎が2者連続四球で出塁すればロペスのタイムリーで再び同点とする。
ここで澤村は無念の降板。
(ちなみに試合後には2軍へ降格が決まる。)
変わって宮國が登板するも無死の2,3塁の場面で大和が四球を選び満塁。
このチャンスの場面で打順は京山にまわってくるが、ラミレス監督は代打に倉本を送る。
まだ4回だったが、押せ押せムードのこのチャンスでなら京山を降ろすのは妥当な判断だったと思う。
まだまだ不安が残る京山だが、東がいない中で大事な戦力に変わりはない。
是非次の登板に備えてまた頑張ってほしい。
そして代打に送られた倉本。
昨日も打てず、不振に喘ぐ倉本。
いささか批判も多い印象のある選手だが、スタジアムの観客からは割れんばかりの大声援。
カウント2-1からの4球目。
遂にセンターへ抜けるタイムリーを放ち、勝ち越しに成功。5-2。
倉本が打った。
スタジアムは歓喜でみち溢れる。
倉本はガッツポーズで手応えを噛み締めた。
タオルを掲げる熱心な倉本ファンの中には顔を歪ませながら喜びを噛み締める者もいた。
そう、倉本は愛されているのだ。
結果が出なければ容赦ない批判を浴びる事もあるが、その分打ったときは跳ねかったような歓声に包まれる。
全ての声を力に変えて。がんばれ、トシ。
さて5回からは5番手國吉が登板し、この日遂に161キロを記録する。
ここ数年思うように結果が出せない中で肉体改造に励み、今シーズン中に160キロ台を出すことを目標に掲げていたが、シーズン序盤にして早くもこの目標を達成する事となった。
バックスクリーンに161キロが表示されると、スタジアムからは歓声よりもどよめきが沸き立った。
2イニングを4奪三振と堂々のピッチングで締め、エスコバー、パットンへと投手リレー。
この日もパットンへは大きな声援が送られた。
8回を3人できちっと締めると拍手が沸き起こる。
もうパットンは大丈夫だろう。
今シーズンもよろしく頼んだぞ、将軍。
打撃は好調そのままに、6回神里のタイムリー2ベース、7回筒香のソロアーチ、8回には満塁の場面で送られた代打佐野がピッチャーゴロの間にランナー生還などにより合計4点を追加。
そして9回にはセーブはつかないものの山崎がマウンドに上がる。
恐らく山崎はまだ本調子ではないのだろう。
開幕戦ではランナーを背負う場面もあり多少気になる部分があった。
セーブがつかない中での登板は、調整の意味合いもあるのかなと感じた。
そんな中この日も先頭から2者連続で出塁を許し、ランナーを背負う厳しい展開に。
一瞬嫌な空気がスタジアムに漂うも、しかしそこは流石の守護神ヤスアキ。
後ろを3者連続で三振を奪う気迫のピッチングでゲームセット。
この調子で少しずつ調子をあげていってもらいたい。
この日の勝利投手は國吉。
彼自身4年ぶりの白星となった。
ヒーローには倉本も選出された。
2人が嬉しそうにインタビューに答える姿は目頭が熱くなるものがあった。
何よりも巨人の6連勝をここで食い止める事が出来たのは大きい。
明日も勝って、流れを引き寄せていきたい。
今永vs菅野(4/5)
【4月5日(金)横浜スタジアム】
De2ー巨3 ●負け
先発:(De)今永ー(巨)菅野
6連戦の後半は巨人戦。
前日のヤクルト戦は3タテされるのを防ぎ、大量得点で試合を締めくくった中で迎える巨人軍との戦いだったが...
カード初戦、接戦を制したのは巨人、いやもはや菅野個人の勝利といっても過言ではない。敵ながら実にあっぱれだった。
"(試合で大量得点を取ると、)統計的には次の日は点を取れないのかなと思う。"
忘れもしない作シーズン阪神に20点得点を許し大敗した試合後のラミレス監督の言葉。
20点はいささか例外だとしても、
今回は前日にベイスターズも巨人も共に10得点をあげて試合に勝っている。
そんな中での今永-菅野の両エース対決。
緊迫した投手戦になると予想する者は多かったはずだ。
ところがいざ蓋をあけてみるとだ。
初回からいきなり坂本と丸がソロアーチを2本叩き出せば、今度はお返しかといわんばかりにソトと筒香もソロアーチを叩き出しあっという間に同点...。
まるで打ち上げ花火でも見ているかのような序盤の滑り出しであった。
おいおい今日も乱打線になるのか?
菅野は別として、ようやく本来の姿が戻ってきた今永が俯く姿なんてもう見たくない。
嫌な不安が一瞬胸をよぎるなか、
2回以降は両者共に落ち着いたのか、本来のピッチングを取り戻し6回まで追加点を与えなかった。
この辺りは流石の両エース対決という感じ。
しかし7回、ゲレーロに一発を放たれここで今永はノックアウト。球は三嶋へ受け継がれる。
被弾はしたものの、今永のストレートは間違いなく戻ってきている。
去年の迷路に迷い込んだ迷子の今永はもういない。
負けはしたが、自信を持ってエースとして投げ続けてほしい。
頼むぞ、今永。
さて賛否が別れたのはおそらく7回裏のベイスターズの攻撃だろう。
この日3安打目となる好調大和の安打で出塁し、二死一塁の場面で代打に送られたのは倉本だった。結果、外角スライダーに手を出してしまい二ゴロに終わる。
何故、このチャンスの場面で打率10割絶好調の佐野を出さない。
そう思ったのは私だけではないはず。
恐らく次でまわってくるクリーンナップからの攻撃で最大のチャンスはやってくると考えたのか、
一度は送ろうとした佐野をわざわざ下げての倉本起用だった。
実際、9回2死の場面で打席には6番ロペス。
次のバッターサークルで出番を待っているのは佐野だった。
だがロペスが塁に出ることはなく、そのまま試合終了。
所詮は結果論でしかないし、たらればを言うのはあまり好きではないが、
何しろ相手は菅野なのだ。
9回になってもなお150キロ台を連投してきてクリーンナップさえも簡単に抑え込んでしまう男なのだ。
だからこそ1人塁に出た時点でこの試合最大のビックチャンス言っても過言ではなかったはずだ。
あの場面は、調子の良い選手をくるかもわからない次のチャンスに温存するより、シンプルに調子の良い選手から使って勝負をしてほしかった。
とはいえこれはあくまで個人的な感想に過ぎない。
詰めるところ結局は今年も菅野が強い。(語彙力)
彼をどう攻略するのか、何かしら策を練らなければ勝つことは出来ないだろう。
個人的には、そんな菅野から全打席でヒットを放った大和の使い方はキーになるかと感じた。
攻守に渡り彼の存在は優勝にはかかせない大事なピースだ。
次に菅野と対戦するときに、この敗戦をどう生かしてオーダーを組んでくるか、
我等の指揮官の采配にも注目していきたいところだ。
ちなみに炎上から1日、リリーフでこの日も登板したパットンには大声援と拍手が送られた。
代打倉本のときもだったが、観客からの溢れんばかりの暖かい声援、
これが今のハマスタの空気なのだ。
ベイスターズファンであることを、誇らしく感じる瞬間であった。
"批判よりも声援を"
良い文化はいつまでも続いてほしいものである。
2019年開幕へ
今年も待ちに待ったこの季節がやってきた。
2019年シーズン開幕戦。
思い起こせばあと一歩が届かず悔しい結果となった昨シーズン。
ー 遠いクライマックス ー
そう名を打った映画「FOR REAL」には、シーズン終盤にかけて、フラストレーションが溜まりに溜まる苦しい選手達の姿がただただ映されていた。
まさにリアルそのものであった。
あの巨人戦さえ勝てていれば...
いやそもそも先発投手が全く揃わないなんて大誤算さえなければ...
どこのチームも何かしら抱えてる事情はあるしにろ、ベイスターズにとっていよいよリーグ優勝も見据えていたシーズンでのあの先発投手事情。
元々選手層が薄いというのに故障者不調者の嵐で勝ちを重ねるのは新人の東のみという過酷すぎる状況だった。
それでも最後までAクラス争いに絡めただけでも充分と考える人もいるだろう。
確かにあの戦力で考えればそうなのかもしれない。
でも少なくとも私は、筒香キャプテンが何度も口酸っぱくいい続けている"リーグ優勝"が叶わないならどんな順位も結果も惨敗でしかなく、悔しい結果でしかなかった。
それは日本シリーズに進み日本一まであと一歩というところまで詰め寄り我々に夢を見せてくれた2017年シーズンでさえも決して例外ではない。
大雨の中阪神園芸さんに激励を送りつつ阪神を倒し、勢いそのままにまるでドラマのように広島を倒してCSを制するというこの上ない下克上は確かに興奮せずにはいられなかったが、それでも我等がキャプテン筒香が掲げる"リーグ優勝"を達成していない事には変わりなく、我々ベイスターズはペナントレースにおいては紛れもない"敗者"なのだ。
毎年シーズンが終わる頃になるとささやかれる筒香のメジャーへの移籍。
ずっと行きたい気持ちはあったと思う。
それでもいつも、「まずは"リーグ優勝"を達成する事だけを考えたい。」
そうメディアには答えてきてくれた。
しかし遂に、そんな彼の口から「メジャーに挑戦したい」という旨の発言がオフシーズン中に飛び出したのだ。
今の実力や年齢を考えれば、むしろよくぞ今までベイスターズに留まってくれたとしかいいようがない。
間違いなく彼は今シーズンが終わったらメジャーに移籍をするのだろう。
今のベイスターズは、親会社がDeNAに変わり体制を一新した中で、中畑監督が作り上げてくれたチームの血筋が流れている。
その血筋そのもの、チームの中で心臓を担うのが筒香嘉智という男なのだ。
筒香がいなくなるという事は、2012年シーズンから激変を遂げてきたベイスターズというチームのひとつの時代が終わる事を意味すると私は思っている。
今シーズンに有終の美を飾らずべくして一体いつ飾る。
2019年シーズン。
1試合1試合、その一瞬を逃さずに、彼等と共に走り抜けようと思う。
We love Yokohama.
We love Yokohama No.1.